豆腐ラブストーリー
世の中には「豆腐の角に頭ぶつけて死ね」という諺がありますが、この間買った豆腐を落として角を凹ませ、さらに急いで掴んだところ破れたパックから汁、もとい豆腐からの洗礼を浴びたひのきです。
この豆腐の洗礼といったら、もうちょっと容赦すべきだと思います。いつも食べているのだしそのくらい許しておくれ。豆腐。
米(しかも量少ないのに高い)の残りと鰹節パックです。
米はそろそろ底をつきそうだったのでとても嬉しい限りです。
鰹節は、先輩の「ほら、下宿生!鰹節は一人暮らしに必須だろう?」の一言に負けましたね。先輩は一人暮らしと鰹節にどんな密接な関係が……あ。
…ちょっと豪華な豆腐演出してみない?っていうことだったんですね先輩……抜け目のないところが素敵です。
これで先輩が同性じゃなかったらさりげない優しさにノックアウトされてたかもしれません。
なんの変哲もない、3パックで97円の豆腐。白くて儚い、押せば潰れてしまいそうな、でもそれでいて四角を保とうとする健気さ…。
きっと僕に見せた洗礼は気の所為でしょう。きっとそうです。強さをいざという時に発揮する系乙女ということにしといてあげます。
そしてその豆腐が、ふわふわした外見の中に日本男児らしさの頑固さとダシも取れるほどの味わい深さを秘め、そしてフレグランスにも負けぬ香りを持った鰹節で、まるで高級旅館の味わいに…という寸法でしょう。
豆腐「あなたは鰹節さん…私、あなたに相応しいように美しくなろうとしたのにもう最後なのですね…」
鰹節「あぁ、そのままで十分うつくしいんだからいいのだよ。君の最後は私が飾ろう。そのためにここに居るのだ…。」
そうして2人は胃の中へ。
鰹節…男前であります。渋くてかっこいい。…羨ましい。
さぁ、明日の晩ごはんはこれで決まりましたね。誰か豆腐ライフ、一緒に送りませんか?